「着物買取で詐欺に遭った」と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
着物買取業者には、公正な手続きと価格で取引をしてくれる良い業者がいる一方で、着物をあまりにも安い価格で買い取ったり、お金を払わず奪っていったりと、詐欺をする悪質業者もいます。
この記事では、着物買取における詐欺のよくある手口や悪質業者の特徴、詐欺に遭わないためのポイントを紹介します。
せっかくの着物買取で詐欺に遭わないよう、知識を持って対策しておきましょう。
注意!着物買取における詐欺のよくある手口
特定商取引法やクーリングオフ制度など、消費者を守る制度が整ってきてはいますが、現在も詐欺の被害は後を絶ちません。
「着物買取で詐欺に遭った」「トラブルに遭った」という方は数多くいます。
着物買取の悪質業者は、いったいどのような手口で詐欺をおこなっているのでしょうか。
この項では、実際にあった悪質業者による詐欺やトラブルを紹介します。
突然訪問してきて押し買いする
「いらない着物はありませんか?」
インターフォンが鳴って玄関に出てみたら、まったく知らない人が立っていてそう言ってきた。
「いらない着物があったら、高く買い取りますよ!」
そういえば、着なくなった着物があったかもしれない。
そうして安易に買取業者を家に入れた結果、本来の価値よりも遥かに安い価格で押し買いされてしまった、売ってくれるまで帰らないと長時間居座られ売ってしまった、という事例が多発しています。
悪質な訪問買取業者は、特に高齢の女性を狙って突然訪問してきて、強引に着物を買い取っていきます。
貴重品やブランド品を一緒に買取する
これは、突然訪問してきた買取業者でも、こちらから買取を依頼して訪問してきた買取業者でもよくある手口です。
着物の買取をしてもらいたかったはずが、「他に貴重品やブランド品はないですか?」と聞いてきたり、勝手にタンスを見たりして、本来売る気のなかった貴重品やブランド品も買い取られてしまうのです。
ひどい場合だと、着物の買取を依頼したはずなのに、貴金属やブランド品しか買い取ってくれなかったという事例もあります。
実は着物は、買取価格が低いことが多いです。数百円しか値がつかない着物や、そもそも買取を断られる着物もあります。
そのため、悪質業者の場合少しでも利益や実績を得ようと着物よりも高い価値があるものを見つけ、買い取ろうとしてきます。
またこういった場合、買取価格は貴重品やブランド品の実際の価値には見合わない低価格なことが多いです。
本来の価値に見合わない低価格
前項で、「実は着物は買取価格が低いことが多い」とお伝えしました。
しかし、中には中古であるにもかかわらず、数十万円の値がつく非常に価値が高い着物もあります。
人間国宝によってつくられ、適切な保管がされてきた着物などが該当します。
そういった着物は、買取の際相応の価格をつけられるべきですが、悪質な買取業者の場合明らかに低い価格をつけることがあります。
これには主に二つの理由が考えられますが、一つは買取業者が着物を査定する専門的知識を持っていないから、もう一つはわざと低い価格をつけ、より利益を得ようとしているからです。
着物を持ち逃げする
稀な事例ですが、訪問買取で着物を査定して、「後日振込する」と言ってそのまま着物を持ち去ってしまう悪質業者がいます。
振込がないことに気づき、連絡を取ろうとしても、知らされていた連絡先が偽物だったり連絡先を教えてくれなかったりして、繋がらない場合が多いです。
訪問買取であればクーリングオフが適用されるのですが、もし買取業者の情報が嘘だったり不明だったりした場合、クーリングオフを利用することはできません。
査定依頼した着物が汚れて戻ってくる
これは宅配買取での事例です。
宅配で査定を依頼し、査定価格を見てキャンセルすると着物が返送されるのですが、その際に着物がぐちゃぐちゃになっていたり汚れていたりすることがあります。
詐欺ではありませんが、非常に悪質なケースです。
買取に承諾してもらえなかった腹いせにおこなわれているものと思われますが、クリーニングするよう再度送ることもできませんし、修繕代を請求することもできません。
泣き寝入りすることになってしまいます。
ちなみに、真っ当な買取業者であれば、綺麗に畳むのはもちろんですが紙に包んで万が一にも汚れないように返送してくれます。
必見!悪質業者の特徴
実際にあった詐欺やトラブルを知り、気になるのは「どんな買取業者が悪質で、どうやって見抜けば良いのか」です。
この項では、悪質業者の特徴を紹介します。
悪質業者にはそもそも関わらないことが一番ですが、利益欲しさにありとあらゆる方法で詐欺を試みるのが悪質業者です。
万が一関わってしまった際、「悪質業者だ」とすぐに気づき、対応できるよう、特徴をしっかり覚えておきましょう。
突然訪問してくる
事前の告知なしにいきなり訪問して買取をおこなおうとする行為は、特定商取引法にて禁止されています。
そのため、突然訪問してきた買取業者はその時点で悪質と判断して良いでしょう。
知識がない
「着物買取をしている」「着物の査定に詳しい」などと言いながらも、着物に関する知識がないか、あまり詳しくない買取業者は悪質である可能性が高いです。
着物の価値の良し悪しを把握できていないため、本来高い価格がつくはずの着物にも低い価格をつけます。
なぜその査定価格なのか、どのポイントで価値が低くなってしまっているかなど詳しく質問をして、納得のできる回答をはっきりと示してくれるのであれば知識を有していると判断して良いでしょう。
しかし、質問への回答が曖昧だったり、自信がない様子が見られたりする場合は信頼しない方が無難です。
気になることは随時質問して、買取業者が本当に知識を有しているかどうか判断しましょう。
不安にさせるようなことばかり言ってくる
「今でないと売れないですよ」
「私たちしか買ってくれる業者はいませんよ」
「査定したのでキャンセルはできません」
このように、こちらの不安を煽ってくるようなことばかり言ってくる買取業者は、悪質と判断して良いでしょう。
実際に、このような言葉をかけられ不安になり、思っていたよりも遥かに低価格だったが売ってしまった、という方は多いです。
単純に買取業者の信頼を落とす行為であることはもちろんですが、契約を締結させるためあるいは契約のキャンセルを防ぐために相手を威迫し困惑させることは、特定商取引法で禁止行為とされています。
そのため、真っ当な買取業者であればそのようなことはおこないません。
買取してもらう業者として嫌悪感や不安を覚えた時点で、断る意思を強く持つことが大切です。
貴金属やブランド品がないか聞いてくる
着物買取における詐欺の手口としても紹介しましたが、着物を買取してもらいたいと伝えたにもかかわらず、貴金属やブランド品の提示を求めてくる買取業者は注意が必要です。
「ない」と断ってすぐに諦める買取業者であれば良いですが、断ってもしつこく聞いてきたり勝手にタンスの中を漁り始めたりする買取業者は悪質です。
その場合はすぐに警察に通報しましょう。
また、元々買取してもらいたい貴金属やブランド品があったとしても、抱き合わせでの買取では価格が本来よりも低くなりやすいため、着物は着物、貴金属やブランド品は貴金属やブランド品でそれぞれ買取査定を依頼しましょう。
会社名の知名度が低い
知名度が低いからといって必ずしも悪質というわけではありませんが、その地域にしか存在しないような買取業者や無名の買取業者は悪質である可能性が高くなります。
音信不通の状態にしたり、とんずらしたりすることが容易であるからです。
ただ、もし知名度が低くても買取査定を依頼してみたい業者がいるのであれば、
- 買取業者のホームページがあるかインターネットで確認する
- 買取業者の名前で検索し、悪い評判がないか確認する
- Google Mapで場所や口コミを確認する
- 営業年数、実績を確認する
以上の確認をすることをおすすめします。
詐欺に遭わないためには?後悔しない着物買取のために!
これまで、実際の詐欺やトラブルの手口、悪質業者の特徴を紹介してきました。
それでは、詐欺に遭わないためには何をしたら良いのでしょうか。
この項では、詐欺に遭わないための具体的な行動を紹介します。
悪質業者による詐欺を防ぎ、後悔せず、満足の行く着物買取を実現しましょう。
突然の訪問買取は断る
前述の通り、事前告知なしの訪問買取は特定商取引法で禁止されています。
そのため、突然買取業者が訪問してきたら、その時点で断ることが重要です。
もし、強引に家の中に入ってくるようなことがあれば、すぐに警察に通報しましょう。
営業電話には相手をしない
事前告知なしの訪問買取は違法ですが、逆に言うと事前に連絡を取り許可を得ていれば訪問買取は合法になります。
買取業者は自分からアプローチしない限り、顧客が店頭に来たり、連絡をしてきたりするのを待つしかありません。
そのため、直接のアプローチとして営業電話をかけてくることがあります。
電話をかけて、「じゃあ買取してもらおうかしら」と良い返事がもらえれば、訪問買取を合法に行えるからです。
しかし、それこそが悪質業者の手口です。真っ当な買取業者から営業電話が来ることもありますが、悪質業者であれば訪問に同意が得られたら前述のような詐欺やトラブルを起こす可能性が高いです。
そのため、基本的に営業電話には相手をしない方が良いでしょう。
着物を買取してもらいたいのであれば、自分で買取業者を選定して自分から連絡するのが最善の選択と言えます。
会社名、電話番号、住所を確認する
営業電話を受けて、信頼できると思った場合でも、自分から訪問買取を依頼した場合でも、買取業者が訪問してきた場合は必ず名刺をもらいましょう。
また、会社名、電話番号、住所を確認しましょう。
悪質業者は、名刺の受け渡しや会社情報の開示を拒むことがあります。
真っ当な会社ではない、クーリングオフ制度を利用されたくないといった理由です。
買取業者が名刺を渡さない、会社名や電話番号、住所を教えてくれないといった場合は、依頼を取りやめ立ち去ってもらうか、警察に連絡して対応してもらいましょう。
買取は大手の買取業者に依頼する
着物買取は、全国に店舗を展開していたりCMでよく見たりするような大手の買取業者に依頼するのがおすすめです。
大手の買取業者は、有名で利用者も多いため、悪質な手口を使う必要がありません。
むしろ、悪質な手口や詐欺をすると口コミなどで悪評が広まり、名前に傷がつくため正当なやり方でしか買取をおこないません。
また、インターネットのホームページなどで情報を多く公開している、買取実績が非常に豊富という点も信頼に値するところです。
着物買取をしたい場合は、そういった大手の買取業者から、口コミ、場所、手数料など自分に合った業者を選ぶと良いでしょう。
高齢のご家族に連絡しておく
訪問買取で詐欺や悪質な被害に遭っている方は、多くが高齢の女性です。
独立行政法人 国民生活センターの調査によると、訪問買取でトラブルに遭った方の約7割が60歳以上です。また、全体の約8割が女性であり、「悪質な買取業者に高齢の女性は非常に狙われやすい」ということが言えます。
高齢であれば、そもそも事前告知なしの訪問買取が違法であるということもご存じないかもしれません。
また、悪質業者の口車に乗せられて、怪しいとは思いつつも売ってしまうということも考えられます。
そのため、高齢のご家族がいるのであれば、今回解説した内容を伝えておきましょう。
また、「なんでも買い取ります」と言って突然訪問してくる買取業者はきっぱり断るように伝えましょう。
現時点で手放すことを考えている着物や貴重品がないか、確認しておくことも大切です。
何を買取してもらいたいのかを確認し、一緒に査定依頼を出す買取業者を選びましょう。
そして、買取業者と実際に取引する際、立ち会うことをおすすめします。
若い親族が同伴することで、強引な契約や抱き合わせの買取を防ぐことができます。
まとめ
この記事では、着物買取において詐欺をしてくる悪質業者の手口や特徴を解説すると共に、詐欺に遭わないための対策について紹介してきました。
突然の訪問買取は特定商取引法で禁止されている行為でありながら、現在も特に高齢の女性を狙った事例が頻発しています。
着物買取を検討する際は、少しでも「怪しい」と感じた買取業者は避けるのが無難でしょう。
また、ご高齢の親族がいらっしゃる場合は、情報を共有し、買取を検討しているようであれば業者を一緒に選ぶことでトラブルを未然に防げます。
買取業者は、全国展開している大手の業者がおすすめです。
口コミを見たりして評判を確認し、店頭買取であれば近場に店舗があるか調べ、手数料の有無などもチェックして、後悔のない着物買取を実現しましょう。