アンティーク着物ってなに?買取相場と高く売るポイントも!

2024/04/08

アンティーク着物とは、明治時代や大正時代、昭和時代の初期といった戦前の時代につくられた着物のことです。

現代の着物とは大きく異なる、レトロなデザインが特徴です。

アンティーク着物はそのデザインを好む人も多く、つくられてから長い年月が経っていても高価買取できる場合があります。

また、似たようなものでリサイクル着物と呼ばれる着物もあります。

この記事では、アンティーク着物とはなにか、リサイクル着物との違いや、買取相場、高く売るためのポイントを解説します。

アンティーク着物ってなに?リサイクル着物との違いも解説

アンティーク着物とは、明治時代や大正時代、昭和時代の初期といった戦前の時代につくられた着物のことです。

その中でも、時代によって特徴が異なります。

この項では、各時代のアンティーク着物の特徴を解説するとともに、似たような着物であるリサイクル着物についても解説します。

明治時代のアンティーク着物

明治時代初期では、18世紀に出された奢侈禁止令(贅沢を禁止するという規制)の影響がまだ残っていたためか、着物も素朴なものが多いです。

以下が主な特徴になります。

  • 素材が木綿
  • 柄が小さく、袖や裾など端のほうに描かれている
  • 寒色系
  • 帯も黒や茶などの地味な色で無地

しかし、明治時代の後期になってくると、奢侈禁止令の風習も薄れ、徐々に明るい色の着物や派手な柄の着物が着られるようになっていきました。

また、この時期には女性が学校に行くことが認められるようになり、着物に袴を合わせるというスタイルが生まれました。

大正時代のアンティーク着物

明治維新によって、ヨーロッパの文化が日本に流入しました。

前述の奢侈禁止令の風習が廃れると同時に、ヨーロッパの文化に触れたことで、着物も大きな影響を受けています。

以下が主な特徴になります。

  • 華やかな柄や色
  • 矢絣柄(矢羽根を並べた柄)と行燈袴(中仕切りのないスカート型の袴)、ブーツを合わせたハイカラスタイル
  • 西洋の植物(バラやチューリップ)の柄
  • 銘仙柄(平織りの絹織物で、「アール・デコ」という幾何学調から影響を受けている)

このように、ヨーロッパの文化の影響が色濃く見られます。

日本文化とヨーロッパ文化の融合によって生まれた「大正ロマン」という文化は、当時のファッションの中心となり、非常に流行しました。

昭和時代のアンティーク着物

昭和時代になると、ヨーロッパ文化が着物に与える影響はますます強くなりました。

女学生の制服は袴からセーラー服に変わりましたが、着物の柄は多彩になります。

以下が主な特徴になります。

  • 幾何学模様やペイズリーなどのポップな柄
  • パステルカラー

しかし、第二次世界大戦の影響により、こういった着物は「派手なもの」として規制されるようになってしまいます。

その結果として昭和時代のアンティーク着物は着られなくなり、人々の着物は割烹着やもんぺに変わっていきました。

リサイクル着物とは?

リサイクル着物とは、昭和時代中期以降、すなわち戦後につくられた着物のことです。

最近つくられた着物であっても、一度誰かに着られたり、誰かの手のもとに渡ったりした着物であれば、リサイクル着物と分類されることもあります。

アンティーク着物の「アンティーク」とは、「骨董」という意味なので、アンティーク着物には骨董品としての価値があるということが、リサイクル着物とは異なる点です。

もちろん、アンティーク着物とリサイクル着物の違いはつくられた時代だけではありません。

アンティーク着物とリサイクル着物の違いとしては、「サイズ」「色」「裏地」が挙げられます。

 アンティーク着物リサイクル着物
サイズ現代よりも平均身長が低いことから小さめのものが多い。現代の平均身長に合った160cm前後のものが多い。
鮮やかな色と大胆な配色である。落ち着いた色で均一化されたデザインである。
裏地色鮮やかである。白か、グラデーションになっている。

すべてが当てはまるわけではありませんが、もしお手元にアンティーク着物かリサイクル着物か判別のつかない着物があれば、これまで紹介した特徴やこの表を参考にしてみてください。

アンティーク着物の買取相場をチェック!

「アンティーク着物が手元にあるけど、今後着る予定はなくてどうしようか迷っている」

このような状況にある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アンティーク着物は古い時代につくられた着物なので、値段がつかないと思われることもありますが、買取が可能です。

この項では、アンティーク着物の買取相場と、高く売れるアンティーク着物の特徴を紹介します。

また、リサイクル着物の買取相場も紹介するため、手元にあって買取を依頼しようか迷っているという方はぜひ参考にしてください。

アンティーク着物の買取相場

アンティーク着物の買取価格は、つくられた時代や種類、製作者、保存状態など、さまざまな条件によって大きく変わってきます。

銘仙や大島紬といった有名なアンティーク着物なら、1万円前後が買取相場です。

ただ、伊勢崎銘仙や名ありの職人によってつくられ、かつ保存状態の良いアンティーク着物であれば、数万円の価格がつくこともあります。

中には、数十万円を超える価格がついたアンティーク着物もあるようです。

ものによってかなり買取価格に差が出てくる着物なので、どれくらいの価値があるのか知りたい場合は、一度査定を依頼してみるのが良いでしょう。

高く売れるアンティーク着物の特徴

アンティーク着物の買取相場について知ると、「では、より高く売るためにはどうすれば良いの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

ここでは、高く売れるアンティーク着物の特徴を解説します。

  • 保存状態が良い
    買取をおこなう上ですべてに共通していることではありますが、保存状態は重要な要素です。
    特にアンティーク着物は戦前につくられているというのが共通事項なので、保存状態が良ければそれだけ価値が上がります。
    汚れ・シミ・シワ・傷み・破れ・虫食い・においがなければ、保存状態が非常に良いといえるでしょう。
  • 有名産地・有名作家によってつくられている
    前の章で「銘仙や大島紬といった有名なアンティーク着物」とご説明しました。
    「銘仙、大島紬とは何だろう?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
    銘仙とは、主に大正時代から昭和時代にかけて着られていた着物で、平織の絹織物です。
    特徴的な織り方をしており、柄の境界がぼやけて見えるという特徴があります。
    銘仙は様々な地域で生産されていましたが、五大産地と言われているのが足利・伊勢崎・桐生・秩父・八王子です。
    この地域で生産された銘仙は特に価値があり、人気のアンティーク着物です。
    また、大島紬は鹿児島県奄美群島で主に生産されてきた着物で、世界三大織物の一つにもなっている有名な着物です。
    戦前につくられた大島紬にも、アンティーク着物としての高い価値があります。
    同じように、茨城県と栃木県が主な生産地である結城紬も、アンティーク着物として有名な着物です。
    こういった有名産地でつくられたアンティーク着物や、有名作家につくられたアンティーク着物は高い価格がつきやすいです。
  • サイズが大きい
    前の章で、「アンティーク着物はサイズが小さめのものが多い」とご説明しました。
    それは日本人の平均身長が現代よりも低かったことが要因ですが、だからこそサイズが大きめのアンティーク着物は希少で、高い価値があります。
    着物は身につける際、本人の身長や幅に合わせて調整するのですが、サイズが小さいと調整ができず、着ることが難しくなります。
    一方で大きいサイズの着物は、おはしょりの調整によって低身長の方でも着られます。
    そのため、着物はサイズが大きい方が需要も価値も高くなります。
    着物は、着るために買いたいという方がほとんどでしょう。
    そのため、小さめのサイズが多いアンティーク着物の中でも大きめのサイズのものは、需要が高いため買取価格も高くなるのです。

リサイクル着物の買取相場

上記の通り、リサイクル着物は戦後につくられた着物を指し、最近つくられたものでもリサイクル着物として扱われることがあります。

戦後から現代にかけて、流行の着物の柄は変遷を遂げてきました。また、ウールや化学繊維といった低価格で仕入れられる素材を使ってつくられた着物も増えました。

そのため、リサイクル着物の買取価格はその種類、素材、状態によって大きく左右されます。

友禅などの伝統工芸品で保存状態が良いものであれば、10~20万円が買取相場になります。

人間国宝によってつくられた一品ものであれば、数十万~数百万円になることもあるでしょう。

着物の買取相場についてはこちらに詳しくまとめてありますので、気になる方はぜひご覧ください。

着物の買取相場は?種類別の買取相場一覧で着物の相場を解説

アンティーク着物を売りたい!高く売るためのポイント

アンティーク着物の買取相場を紹介してきましたが、いざ買取を依頼するとなった際には、少しでも高い価格をつけてほしいものです。

そこでこの項では、アンティーク着物を高く売るためのポイントを紹介します。

現代ではつくることができず、限られた数しか存在しないのがアンティーク着物です。少しでも高い価格をつけてもらい、満足のいく買取を実現しましょう。

着物専門の買取業者に依頼する

アンティーク着物は戦前の着物であり、その価値を最も正しく測れるのは着物専門の査定士といって良いでしょう。

何でも買い取るという質屋やリサイクルショップには、着物専門の査定士がいないことが多いです。

着物専門ではない査定士が非常に価値の高いアンティーク着物を査定した場合、本来よりも遥かに低い買取価格をつけられてしまうかもしれません。

そのため、アンティーク着物の買取を依頼するのであれば、必ず着物買取専門業者に依頼しましょう。

複数社に査定を依頼する

着物専門でも、買取業者によって査定価格は変わってきます。

査定価格の違いは持っている販路の違いから生まれます。

その買取業者が、持ち込んだアンティーク着物の需要が高い販路を持っていれば、買取価格は大幅に上がるでしょう。

一方で、需要がある販路を持っていない買取業者であれば低い買取価格をつけることも考えられます。

以上の理由から、査定は複数社に出し、最も高い価格をつけてくれた買取業者に買取を依頼しましょう。

帯や和装小物などの付属品を一緒に査定に出す

アンティーク着物を手放すのであれば、帯や和装小物も必要ないのではないでしょうか。

アンティーク着物を買取してもらうのであれば、帯や和装小物も一緒に買取してもらいましょう。

一式揃っていればその分買取価格も上乗せされます。

また、帯や和装小物はそれ単体で査定に出しても価格をつけてもらえないという場合があります。

ただし、着物と一緒にということであれば買取してもらえることが多いです。

以上のように、帯や和装小物を一緒に買取してもらうことにはメリットしかありません。

アンティーク着物を買取してもらうのであれば、必ず他の帯や和装小物も一緒に買取してもらいましょう。

証紙を一緒に出す

証紙は、着物のギャランティカードです。

作家名や産地が示されており、そのアンティーク着物の価値を証明してくれます。

着物によっては、証紙ではなく落款という形で、着物に職人のハンコのようなものが押印されていることもあります。

その場合、証紙がなくてもそのアンティーク着物の価値が証明できます。

アンティーク着物は戦前につくられた着物な上、証紙には着物の製作途中で余った切れ端が用いられていることが多いため、残っていることは珍しいかもしれません。

しかし、もしお手元のアンティーク着物に証紙が残っているのであれば、必ず一緒に査定に出しましょう。

証紙があればそのアンティーク着物の確かな価値がわかり、高い価格をつけてもらいやすくなります。

まとめ

アンティーク着物は戦前につくられた着物ですが、その特徴はつくられた時代によって異なります。

時代を反映した色や柄をしており、大正時代以降につくられたものは色鮮やかで、柄も大きく大胆なものが多いという特徴があります。

骨董品としての価値があり、非常に人気が高いです。

状態が良く、有名産地や有名作家によってつくられたもので、サイズが大きめのものであれば、高価買取が期待できます。

買取してもらう際は、複数社に査定を依頼すること、帯や和装小物を一緒に査定に出すこと、証紙があれば一緒に出すことを忘れないでください。

買取価格アップが見込めます。

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