サブマリーナの歴史
ロレックスのサブマリーナは、1954年に当時世界最大の時計見本市だった「バーゼルフェア」にて発表された、ロレックス初のダイバーズウォッチです。100m防水と、潜水時間の測定を可能とする回転ベゼルを搭載したこのモデルは、プロダイバー向けに作られました。サブマリーナの開発には、1926年にロレックスがオイスターケースの開発に成功したことが深く関わっています。高い防水性能を持つオイスターケースは、サブマリーナの開発に向けて完全防水を実現するために改良を重ねられ、30年余りを経てついにロレックス初のダイバーズウォッチを完成させるに至ったのです。
第1世代(1954年~1950年代後半)
第1世代には、Ref.6204、Ref.6200、Ref.6205などがあります。サブマリーナのファーストモデルといわれているのはRef.6204です。Ref.6200、Ref.6205はその後に発表されましたが、200m防水とファーストモデルよりもさらに防水性能がアップしました。
第2世代(1955年~1960年代前半)
第2世代には、Ref.6536、Ref.6538などがあります。第1世代ではムーブメントが片方巻き上げ式だったのが、両方巻き上げ式になったことで、巻き上げ効率が大幅に向上しました。Ref.6538は俳優のジェームズ・ボンドが映画内で着用していたことから、「ボンド・モデル」とも呼ばれています。
第3世代(1958年~1988年ごろ)
第3世代には、Ref.5508、Ref.5510、Ref.5512、Ref.5513、Ref.1680などがあります。Ref.5508、Ref.5510は、約2年間しか製造されなかったことから流通数が非常に少なく、中古市場ではめったに見かけることのない希少モデルです。第3世代では精度と耐久性が大幅に改善され、実用性が向上しました。それにもかかわらず製造年数が2年と短いのは、後発のRef.5512、Ref.5513がさらに性能を向上させたものだからかもしれません。Ref.5512、Ref.5513はリューズガードを採用しており、衝撃からリューズを守る仕組みが施されています。さらに操作性も向上しました。Ref.5513がRef.5512と異なるのは、クロノメーターがないという点です。Ref.1680はこれらと同時に発売されていたモデルで、サブマリーナ初となるデイト機能を搭載したモデルでした。
第4世代(1989年~2012年)
第4世代には、Ref.16610、Ref.14060、Ref.14060Mなどがあります。第3世代のモデルから、仕様変更を重ねた中で実用性と耐久性が大幅に向上し、さらに偽造防止対策も施されました。Ref.14060はデイト表示とクロノメーターがありません。Ref.14060Mになると、偽造防止対策の一つである「王冠透かし」が6時の位置に入るようになりました。なお、2007年以降に製造されたモデルはクロノメーターが搭載されています。
第5世代(2010年~)
第5世代は現行モデルです。Ref.116610LN、Ref.116610LV、Ref.114060などがあります。セラミックベゼルを採用し、ブレスレットも改良したことで全体的な耐久性が向上するとともに、デザインも大きく変わり高級感が強いものとなりました。Ref.116610LVはRef.116610LNと内外装こそ同じですが、文字盤がグリーンであることが特徴です。Ref.114060も内外装はほとんど変わらないものの、ノンデイトであることが大きく異なる点といえます。
サブマリーナのラインナップ
ロレックスのサブマリーナは、ダイバーズウォッチではありますが、もちろん日常生活の中でも高い使用感とステータスを提供してくれます。オン・オフのどちらでも、持ち主の生活やファッションを支えるでしょう。以下では、さまざまな種類があるサブマリーナの中から、人気のラインナップを一部紹介します。
Ref.126610LN
2020年に登場したモデルです。前モデルのRef.116610LNから、ケースサイズが1mm大きくなりました。素材はステンレスやゴールド、ロレゾールがあります。文字盤はブラックです。約70時間のパワーリザーブを持ちます。
Ref.124060
Ref.126610LNと同時に、2020年に登場したモデルです。Ref.126610LNと異なるのは、ノンデイトであること。デイト表示がなくデザインがシンメトリーになることで、Ref.126610LNより好まれる方も多いようです。
Ref.126610LV
型番の「LV」は、「Lunette Vert」の略であり、グリーンベゼルを意味します。その名のとおり、ベースはRef.126610LNで、ベゼルがグリーンなのが最大の特徴です。グリーンがロレックスのコーポレートカラーであることから、流通数に対して需要が非常に強く、中古市場では常に他モデルとは一線を画した価格で取引されています。
Ref.126613LB
スペックはRef.126610LNと変わりませんが、カラーリングに大きな特徴があるモデルです。素材はステンレススチール×イエローゴールドで、ブルーベゼル、ブルーの文字盤と、航海での華やかな船上をイメージさせる色合いです。インデックスや針にもイエローゴールドが用いられていることから、存在感を放つ一品となっています。青サブとも呼ばれています。
Ref.126613LN
Ref.126613LBのブルーの部分を黒に置き換えたデザインのモデルです。イエローゴールドはそのままに、漆黒のベゼルや文字盤はアイテムの迫力をより強いものへと進化させています。Ref.126613LBよりも流通数が少なく、希少性が高いです。
Ref.116610LN
現行モデルの第5世代の1作目を飾ったモデルです。それまでのモデルと異なり、セラミックベゼルを採用し、ブレスレットも改良されたことで、実用性と高級感の両者が大幅に向上しました。特にセラミックベゼルは艶があり、傷が付きにくい性質を持つことからロレックスの他現行モデルでも多く採用されています。ブラックベゼル、ブラック文字盤で、シンプルかつ洗練されたデザインにより発売当初から強い支持を受け続けるモデルです。
Ref.16610
第4世代のモデルで、現在は廃盤となっています。実用性や性能は現行モデルよりも劣るとはいえ、現在でも第一線で活躍できるアイテムであることや、ロングセラー商品として長く愛され続けてきた歴史から、強い人気を博し中古市場でも多くの取引が行われているモデルです。
Ref.5513
第3世代のモデルで、現在は廃盤となっています。こちらもロングセラー商品であり、幾度もマイナーチェンジが行われてきたことから発売時期によって若干仕様が異なります。初期モデルではインデックスに縁が付いていませんでしたが、後期モデルでは縁が付いており、その差によって人気や取引価格が異なる点も、コレクターの興味を引いているポイントでしょう。
サブマリーナの高価買取のコツ
ロレックスのサブマリーナは、ロレックスのコーポレートカラーであるグリーンを用いたモデル「LV」や、希少性の高いRef.126613LNが特に需要が高く、高価買取が期待できます。
他に、デイトナの高価買取のポイントをいくつか紹介します。
付属品をそろえる
付属品とは、保証書や外箱、取扱説明書、余りコマ、替えのベルトなどです。付属品が、アイテムが本物であることを証明してくれます。また付属品がそろっていることで、より多くの需要を見込めるため、付属品があればあるほど高価買取が期待できます。できれば、購入した際の状態そのままで査定に出せるとよいでしょう。
複数の買取業者に査定を依頼する
サブマリーナは、100万円~数百万円での買取が期待できるアイテムです。買取価格は商品の状態や需要の高さに影響されますが、買取業者別にそれぞれの店舗の査定士が査定を行うため、価格に大きな差が出ます。複数の買取業者に査定を依頼し、手数料も考慮に入れた上で、もっとも高く売れる買取業者を選べるようにしましょう。
サブマリーナの豆知識
サブマリーナの意味
サブマリーナは、英語で「潜水艦」を意味します。ロレックス初のダイバーズウォッチであるサブマリーナにまさにふさわしい名といえるでしょう。その名のとおり、プロのダイバー向けに作られた時計で、現行モデルの防水性能は300m防水と類いまれなる数値です。ダイバー向けとはいえ、もちろんダイバー以外の方でも使いこなせます。シンプルかつ洗練されたデザインで、実用性・耐久性にも優れているため、どのようなファッションにもなじむでしょう。ベゼルや文字盤がブルーのモデルも多くあり、まさに海を想起させる華やかなカラーリングは、持ち主の個性を引き立てると同時にステータスをも向上させるはずです。
他のダイバーズウォッチとの違い
ロレックスには、サブマリーナの他にもダイバーズウォッチが2モデルあります。一つはヨットマスター、もう一つはシードゥエラーです。帆船の主を意味するヨットマスターと、海の居住者を意味するシードゥエラー。
まず、ヨットマスターとの違いですが、ヨットマスターは水上での使用を想定されています。そのため、防水性能は100m防水とサブマリーナよりも劣ります。また、サブマリーナでは逆回転防止ベゼルですが、ヨットマスターは両方向回転ベゼルです。これは、サブマリーナ着用時に水中で誤作動を防ぐためです。水中での使用か、水上での使用か。想定される使用場面の違いからこのような性能の違いが現れています。
次に、シードゥエラーとの違いです。シードゥエラーは、サブマリーナよりもさらに優れた防水性能を持ちます。サブマリーナの300m防水に対し、シードゥエラーは1220m防水です。加えて、シードゥエラー ディープシーは3900m防水と、なんとサブマリーナの10倍以上もの防水性能を誇ります。また、サブマリーナではサイクロップレンズが付いていますが、シードゥエラーでは付いていません。これは、深海において水圧でサイクロップレンズが破損しないように意図して施されたものです。海の居住者を意味するシードゥエラーは、サブマリーナよりもはるかに深海での使用を想定されているため、防水性能や水圧対策がより施されています。