「付け下げ小紋」という着物をご存じでしょうか。
昭和初期に流行した、小紋と付け下げの間に位置する着物であり、現在ではアンティーク着物として高い人気を集めています。
しかし、珍しい着物なので、持ってはいるものの着る機会がないという方もいらっしゃるでしょう。
処分するならば、できるだけ高値で買い取ってもらいたいと思うものです。
そこで今回は、付け下げ小紋の買取について詳しく解説していきます。
付け下げ小紋の着用シーンや小紋との違いについても解説いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
付け下げ小紋とは
付け下げ小紋は大正から昭和にかけて流行った着物ですが、徐々に出番を失い、近年はもはや生産されない稀少な着物となってしまいました。
ここでは、付け下げ小紋とはいつ着る着物なのか、小紋と付け下げとどんな違いがある着物なのかについてご紹介していきます。
付け下げ小紋とはどんな小紋?
付け下げ小紋とは、小紋の一種で、小紋柄が付け下げ模様に模様づけされた着物のことです。
付け下げ模様とは、下半身(帯の前下あたり)、肩(左胸あたり)、袖(右袖後あたり)に柄が出る模様づけです。
そして、プリント生地のように、同じ模様が繰り返された柄のことを小紋柄といいます。
つまり、付け下げ小紋とは、下半身(帯の前下あたり)、肩(左胸あたり)、袖(右袖後あたり)に同じ柄が繰り返されている着物のことを指しているのです。
付け下げ小紋の位置づけは、付け下げと小紋の間で、小紋よりも少しグレードアップした着物と捉えて問題ないでしょう。
しかし、付け下げのようにフォーマル(セミフォーマル)な場での着用は適しておらず、あくまで小紋の一つとして着用されています。
付け下げとは
付け下げとは、太平洋戦争の頃、贅沢品として禁止された訪問着の代わりに台頭した着物であり、訪問着よりも落ち着いた色味と柄行が特徴です。
柄は、下半身(帯の前下あたり)、肩(左胸あたり)、袖(右袖後あたり)にのみ現れる仕様になっており、反物の形で販売されています。
そのため、訪問着の絵羽模様のような続き柄はなく、縫い目で模様が途切れているのも付け下げの特徴として知られています。
しかし、近年はより絵羽模様に近い模様づけを意識した付け下げ(正式には「付け下げ訪問着」)も販売されています。
小紋との違い
小紋は、細かな柄が上から下まで繰り返し描かれていますが、付け下げ小紋は下半身(帯の前下あたり)、肩(左胸あたり)、袖(右袖後あたり)のみに柄が出る仕様になっており、見た目の華やかさも異なります。
小紋は洋装でいうところのプリント生地ワンピース、付け下げ小紋はちょっとよそ行きのワンピースといったイメージです。
しかし、小紋も付け下げ小紋もあくまでカジュアルな装いのための着物であり、どちらも着用シーンが大幅に異なることはありません。
このように、小紋と付け下げ小紋との境界線は非常に曖昧なため、どんどん付け下げ小紋の需要が減り、生産に至らなくなってしまったといわれています。
しかし、今現在でも着物愛好者には人気が高い品となっているため、買取の需要は高いといえるでしょう。
付け下げ小紋の着用シーン
付け下げ小紋は、小紋よりは格が高く、付け下げよりも格が低い着物という位置づけになっています。
付け下げは略式の訪問着としてセミフォーマルな場に着用しても問題ないとされていますが、付け下げ小紋はあくまで小紋としての役割しか担っていないのです。
そのため、付け下げ小紋をセミフォーマルな場で着用をすることはできません。
付け下げ小紋を着用する場に相応しいのは、お友達とのお食事、美術館巡り、デパートでのお買い物といったシーンになります。
付け下げ小紋を高価買取してもらうためのポイント
付け下げ小紋は、現在あまり生産されていない着物であり、アンティーク着物としての価値があると考えられています。
そのため、同じ小紋でも、付け下げ小紋には意外な付加価値が見出されることもあるのです。
ここでは、付け下げ小紋を高価買取してもらうためのポイントについて解説いたします。
保存状態を良くしておく
付け下げ小紋に限らず、着物は新品未使用品に近いものほど高値が付きやすくなっています。
反対に、カビや大きなヤケ、黄ばみなどが目立つものは、使用回数頻度が少なくても高値は期待できません。
高価買取を希望するのであれば、日頃から物の管理にも気をつけましょう。できるだけシワにならないようきちんと畳み、カビが生えないよう湿気に注意して保管するなど、日頃から着物の管理方法にも気をつけましょう。
早めに買取に出す
どんなにきちんと着物を保管していても、経年による劣化を防ぐことはできません。
特に大正から昭和にかけて生産された付け下げ小紋であれば、すでに生地の劣化も始まっていると考えられます。
記事の劣化が進んでしまうと、買取をしてもらえないという事態にも陥りかねないため、着物はできるだけ早く買取に出すようにしましょう。
セットで出せるものをまとめて査定に出す
付け下げ小紋を買取してもらう際には、他の着物や帯、和装小物と一緒に査定に出すことをおすすめします。
着物は、着物単体で着用することはなく、帯や和装小物と一緒に身に着けることで和装が完成します。
そのため、着物単体で買取に出すよりも、着物、帯、和装小物のフル装備で査定に出す方が、査定額を伸ばしやすいのです。
付け下げ小紋を査定に出す際は、他の和装小物や着物なども一緒に査定に出してみましょう。
付け下げ小紋の買取方法
ここでは付け下げ小紋の買取方法として、フリマアプリ、リサイクルショップ、買取業者の三パターンをご紹介します。
フリマアプリ
希望価格で買い取ってもらいたいという方は、フリマアプリがおすすめです。
しかし、必ずしも買取が成立するという保証はないので、その点は念頭に入れておきましょう。
また、買取契約が成立したあかつきには、付け下げ小紋を購入者へ発送するという作業が発生します。
着物をきちんと畳み、丁寧に梱包し、破損しないよう送り届けるというのは、意外と手間のかかる作業になります。
そのため、時間がないという方や、面倒な作業はしたくないという方には不向きな買取方法とも言えるでしょう。
リサイクルショップ
リサイクルショップではアンティーク着物の買取は積極的に行っているところが多々あります。
しかし、リサイクルショップでの買取の場合、着物に関する知識を有しない方が査定を行うことも多いため、せっかく価値が高い着物でも相場よりも安い価格でしか買い取ってもらえないといったケースもあります。
しかし、とりあえず早く処分してしまいたいという方はリサイクルショップを利用するのも良いでしょう。
買取業者
着物買取専門の買取業者では、古い着物やアンティーク着物の買取を積極的に行っています。
査定もプロの着物買取専門の方が行うため、予想外の付加価値が見出されることも少なくありません。
特に、稀少性が高いとされる付け下げ小紋は、通常の小紋よりも高値が期待できる品なので、着物買取専門の買取業者に買取を依頼することをおすすめします。
まとめ
小紋よりもやや格が上の付け下げ小紋は、今は滅多に生産されない、稀少な着物であるということが分かりました。
買取の場ではアンティーク着物として扱われるケースもあり、小紋よりも高価買取に繋がりやすい着物の一つです。
もし、ご自宅に付け下げ小紋があり、もう着用することもないというのであれば、着物買取専門業者に依頼し、買取を行ってみてはいかがでしょうか。