ヴァンガードの歴史
フランクミュラーのヴァンガードは、2014年と比較的最近に発表されたモデルです。
フランクミュラーは、1992年に時計技師フランク・ミュラーと宝飾技師ヴァルタン・シルマケスによって創業されました。歴史は浅いながらも魅力的な時計の数々を発売し続け、創業年数の短さに反し、他の累々たる世界的時計ブランドと肩を並べるまでに成長しました。
ヴァンガードは、そんなフランクミュラーの代表的なモデルの一つです。
ヴァンガードにはメンズモデルとレディースモデルがありますが、特筆すべきは同じモデル名を冠するにもかかわらず、メンズモデルとレディースモデルでデザインが異なることです。メンズモデルはインデックスが立体的でパワフルな印象を与えます。一方のレディースモデルは、丸みを帯びたデザインで柔らかい印象を覚えるでしょう。
他にも、ヴァンガードが他のフランクミュラー・アイテムと異なる点を紹介します。
完成度の高いトノーケース
フランクミュラーといえば、トノーケースです。トノーとは「樽(たる)型」を意味し、文字盤のケースが緩やかな曲線を描く樽型であることを指します。従来のフランクミュラー・アイテムは、トノーケースを採用していたものの、ベルトの接続部であるラグによって樽の四隅に突起がある状態でした。そこを、ヴァンガードはラグを内蔵することによって突起をなくし、純然たる樽型のトノーケースを生み出したのです。
独特な文字盤
ヴァンガードの文字盤には、ヴァンガードのためだけに編み出されたデザインのアラビア数字が施されています。従来、フランクミュラーの文字盤の数字は丸みを帯び、どこかフェミニンな印象を覚えさせるものでした。しかし、ヴァンガードの数字は幾何学的なデザインをしており、「力強さ」を感じさせるものとなっています。
ラバーベルト
ヴァンガードのベルトには、クロコダイルにラバーコーティングを施したラバーベルトが採用されています。これは、従来のものより装着感がよく、さらに水や汗に強い耐水性を完備しているベルトです。
ヴァンガードのラインナップ
ヴァンガード クロノグラフ
クロノグラフとは、「クロノス(時間)」と「グラフ(記する)」を組み合わせた造語で、「ストップウォッチ機能が付いた時計」を意味します。
ヴァンガードのクロノグラフは、時計を正面から見た際に右側にボタンが2つ施されており、クロノグラフであるかどうかがひと目で分かります。
ヴァンガード ヨッティング
2017年に発売された、ヴァンガードの新シリーズです。
特徴はなんといっても青と白を基調としたカラーリングと、文字盤中央の羅針盤のデザイン。名前のとおり、ヨットで大航海を航行する風景をイメージして作られました。リューズガードが付いていることから、スポーティな場面で使いやすくなっているのも魅力の一つです。
ヴァンガード ヨッティング クレイジー アワーズ
2021年の新モデルで、時間を示すインデックスを不規則に配置しているのが最大の特徴であり、もはや時計としては異質ともいえるポイントです。しかし、時針は時刻に合わせて正しいインデックスへとジャンプします。まさに「狂気じみた時間」です。ヨッティングモデルとの組み合わせにより、水辺や海上での時間やスポーツの時間をひときわ輝かせるでしょう。
ヴァンガード マリナー
ヴァンガード マリナーは、ヴァンガード ヨッティングの進化系といえるモデルです。青と白を基調としたカラーリングはそのままに、文字盤中央の羅針盤はより近代的なデザインとなっています。最大の特徴は、インデックスの「3」がEastの「E」に、「9」がWestの「W」に置き換わっていることです。ますます大航海での航行を想起させるデザインとなりました。
ヴァンガード ライジングサン
「日出ずる国」と呼ばれる日本の日の丸国旗から着想を得て作られたモデルです。赤いインデックスと針のデザインは共通しているものの、文字盤の色が白のものと黒のものがあります。文字盤には水平線から太陽が昇る姿をイメージして作られたデザイン「ヌーベルバーグ・ギョウシェ」が施されており、太陽や日の光の存在を強く示したモデルです。
ヴァンガード グラビティ スケルトン
文字盤の必要最低限の部分以外をなくし、時計内部の複雑な機構が見えるように施されたのがスケルトンです。重力を意味するグラビティは、この時計が重力を持っているかのように、人々の目を引きつけることから付けられた名前でしょう。透明度の高い配置と、直線が目立つデザインは、個性を引き立て周囲の人々の興味を引くこと間違いありません。
ヴァンガード レディ
ヴァンガードのレディースモデルです。メンズモデルとは異なり、トノーケースや文字盤の数字が丸みを帯び、フェミニンな印象を与えます。トノーケースに小さなダイヤモンドが敷き詰められたモデル、文字盤がスケルトンでいくつものハートマークがあしらわれたモデルなど、個性的なデザインもあり持ち主の魅力を引き立てるでしょう。
ヴァンガードの高価買取のコツ
フランクミュラーのヴァンガードは、高価買取してもらうことが可能です。以下では、ヴァンガードを高く売るためのコツを紹介します。
複数の買取業者に査定してもらう
ヴァンガードは、買取価格が数十万円から、時には100万円を超えるまでに高価買取してもらえる時計です。そのため、買取する業者によって数万円~数十万円もの差が出ることは珍しくありません。査定は必ず複数の買取業者に依頼し、可能な限り高く買取してもらいましょう。
売るタイミングを見計らう
ヴァンガードを売るなら、円安のタイミングがおすすめです。円安下では海外ブランドの輸入品は軒並み価格が上昇します。その結果、安く買える中古品に需要が集まることで、買取価格も上がるのです。
付属品をすべてそろえて査定してもらう
ヴァンガードの保証書や外箱、余りコマ、替えのベルトなど、購入時に付いてきた付属品はすべてそろえて査定に出しましょう。付属品があることでアイテムが本物である証明になる上に、付属品がそろっている時計であれば欲しい人も増えるため高価買取してもらいやすくなります。
ヴァンガードの豆知識
ヴァンガードの意味
ヴァンガードは英語で「Vanguard」と書きます。フランス語のアヴァンギャルドを語源としており、その意味は「前衛」や「革新的」といったものです。フランクミュラーの創業者フランク・ミュラーは、ヴァンガードを発表するにあたり、「人生において、時間とは大航海での航行のように目印がない。だからこそ、ヴァンガードを通して自分自身の価値観と時間で生きてほしい」という願いを込めたそうです。ヴァンガードはデザインはさることながら、込められた願いにも前衛・革新的な意図が組み込まれています。ヴァンガードにはヨッティングやマリナーなど海をイメージしたモデルが多いですが、これらもフランク・ミュラーの願いの反映といえるでしょう。
フランクミュラーの歴史
創業当初から、まったく新しい時計を発表し続け、わずか数年で時計ブランドのトップ層へと上りつめたフランクミュラー。創業者フランク・ミュラーは、ジュネーヴの時計学校を主席で卒業するほどの手腕を持ち、卒業制作ではロレックスの時計に永久カレンダーを組み込むなど、若い頃から天才時計技師としての実力を見せていました。その類いまれなる才能は、世界5大時計ブランドの一つであるブレゲの創業者であり、天才時計技師として名高いアブラアン・ルイ・ブレゲと重なり、フランク・ミュラーは「ブレゲの再来」と呼ばれるほどです。フランク・ミュラーは時計学校を卒業後、独立時計師として活動し、フランクミュラーを創業するまでにも多くの革新的な時計を発表していました。
フランクミュラーの他モデルとの違い
ヴァンガードがフランクミュラーの他モデルと異なるのは、なんといってもラグのない純粋な樽(たる)型のトノーケースです。ヴァンガードはトノーケースにラグがないことから、柔らかな印象と同時に洗練された雰囲気を醸し出します。その中でも、ヨッティングやマリナー、スケルトンなど独創性に富んだモデルが充実しているのも魅力です。