バーキンの歴史
エルメスのバーキンは、1837年のエルメス創業から140年余り後の1981年に誕生しました。
誕生のきっかけは、エルメスの5代目会長ジャン・ルイ・デュマがロンドン行きの飛行機に乗車した際、隣席に座っていたのが世界的女優のジェーン・バーキンだったことです。彼女は当時、子育てをしながら世界中を飛び回っていましたが、彼女がそのとき使用していたバッグはとても利便性が良いとはいえないもので、ジャン・ルイ・デュマの目の前でバッグの中身がすべてこぼれ落ちてしまいました。
それを見たジャン・ルイ・デュマは、ポケット付きのバッグを使うことをジェーン・バーキンに提案しましたが、彼女は隣席の男性をエルメスの会長とは知らぬまま、「エルメスがポケット付きのバッグを作ってくれたら、それに変えたい」と答えます。すると、ジャン・ルイ・デュマは「私がエルメスなので、あなたのためにポケット付きのバッグを作りましょう」と約束しました。これが、バーキン誕生のきっかけです。
その後、ジャン・ルイ・デュマはエルメスに約束のバッグを買いに来たジェーン・バーキンに対し、「バッグを譲る代わりに、彼女の名字をデザイン名に貸してほしい」と提案しました。彼女がそれに快諾したことで、バーキンはその名前を得ました。それ以降、毎年エルメスからジェーン・バーキンにロイヤリティが支払われていたそうです。
このような歴史から、バーキンは非常に機能性の高いバッグとして人気があります。特徴は、なんといってもその収納力です。バッグの内側には仕切りを作らず、自由に物を収納できます。そして、バッグの内側と外側にオープンポケットを、背面内側にファスナーポケットを施していることで、小物の収納にも困りません。
さらに、バッグの底の四隅に金具を設置することで、床にバッグを置いた際のダメージを軽減し、耐久性を高めています。加えて、ケリーでは1本のハンドルを、バーキンでは2本にすることで、荷物を詰め込んで重くなってしまったとしても安定さを損ねることがありません。
バーキンのラインナップ
バーキンは、サイズや素材、カラーが豊富なバッグです。代表的なものを順に見ていきましょう。
【サイズ】
バーキン25
縦20cm×横25cm×マチ13cm。もっとも小さなサイズです。
スマートフォンや財布など、必要最小限のものだけ入れて外出するのにぴったりのコンパクトさです。
バーキン30
縦22cm×横30cm×マチ16cm。
日本人女性にぴったりのサイズといわれています。必要最小限のもののほか、タブレットも入るサイズです。
バーキン35
縦25cm×横35cm×マチ18cm。
ビジネスバッグにも使えるサイズです。ノートパソコンも入ります。
バーキン40
縦30cm×横40cm×マチ21cm。バーキンの名前の由来である女優ジェーン・バーキンがプレゼントされたサイズです。
バッグだけで1.5kgあります。2泊3日の旅行に使える大容量です。
バーキン45
縦31cm×横40cm×マチ19cm。
バーキン45以降は底の金具が6つ付いています。また希少価値が高く、日本ではほとんど出回りません。
バーキン50
縦34cm×横50cm×マチ26cm。
男性向けで、旅行や大容量の荷物の移動に便利です。
バーキン55
縦39cm×横55cm×マチ28cm。もっとも大きなサイズです。
【素材】
ヴォー・クリスペ・トゴ
雄の子牛の革です。深くきめ細かい革目が特徴で、耐久性が高く、型崩れしにくい魅力があります。バッグから小物まで幅広いアイテムに使われており、エルメスの定番素材となっています。
トリヨンクレマンス
雄の成牛の革です。上質な柔らかさが特徴です。発色がよく、光沢もあるため、トゴよりも高級感があるとして人気があります。
ヴォー・エプソン
型押し加工された雄の子牛の革です。高い耐久性・耐水性と軽量を両立しており、型崩れしにくく使いやすい素材です。
ヴォー・スイフト
雄の子牛の革です。発色に非常に優れ、彩度の高い色のバッグに使用されることが多くあります。柔らかく手触りも良いですが、傷が付きやすい弱点があります。
【カラー】
ブラック
バーキンの定番カラーです。使いやすさから、もっとも人気のある色の一つとなっています。
ゴールド
バーキンの定番カラーです。ゴールドという名前ではありますが、キャラメル色をしています。使いやすさと上品な色合いから、もっとも人気のある色の一つです。
エトゥープ
グレーとベージュの中間のような色合いをしています。どのような色のファッションにも合わせやすい色であると同時に、ビジネスシーンでも使える色で、人気の強いカラーです。
トゥルティエールグレー
エトゥープと似たような色合いですが、エトゥープよりもベージュが強く明るいカラーです。季節を選ばず、強い人気があります。
ピンク
ビビットなショッキングピンクや淡い桜色など、一口にピンクといっても幅広いカラー展開がされているカラーです。特に春前、春ごろに需要が高まります。
ブルー
爽やかなシアンやビビットなブルー、落ち着いたネイビーまで、さまざまな色合いが展開されているカラーです。特に、落ち着いた空色のブルージーンが強い人気を誇ります。
エタン
マットなグレーカラーです。普段使いにも、ビジネスシーンにも使えます。根強い人気があります。
バーキンの高価買取のコツ
エルメスのバーキンは、ブラックやゴールド、エトゥープなど、定番カラーの人気が特に強く、高価買取してもらえる傾向があります。
他に、バーキンの高価買取のポイントをいくつか紹介します。
売るタイミング
バーキンは、需要が高まる時季やその直前のタイミングで売ると高価買取してもらいやすいです。例えばブラックやエトゥープのバッグは、新生活が始まる4月前やボーナスが出る夏・冬前に需要が高まるため、その分買取価格が上がります。
他にも、ピンクのバッグは春をイメージさせることから、冬から春にかけて買取価格が上がりやすいです。
付属品はそろえて査定に出す
付属品とは、ギャランティカードや外箱、キーホルダー、購入時の紙袋などです。これらはアイテムが本物のバーキンであることを証明すると同時に、再度販売された際の需要も見込めるため高価買取が実現します。
相見積もりを取る
エルメスのバーキンは、もともとの定価が高く、かつ希少性が高いため中古でも高額です。そのため、買取においても店ごとで査定価格に数万円の差が出ることも珍しくありません。可能な限り高く買取してもらうために、査定は複数の買取業者に依頼しましょう。
バーキンの豆知識
バーキンの起源
バーキンの誕生については上記で紹介したとおりですが、バーキンが同じくエルメスの人気デザイン・オータクロアをもとにして作られたことをご存じでしょうか。オータクロアはエルメスの初期のバッグですが、旅行用に適した大容量が特徴でした。というのも、オータクロアは馬具の鞍(くら)を入れるためのバッグだったからです。
バーキンが誕生したきっかけとなった女優ジェーン・バーキンは、子育てをしながら世界中を飛び回るという多忙さで、収納力と機能性を兼ね備えたバッグを求めていました。だからこそ、大容量のオータクロアをもとに、たくさんの荷物を入れられてなおかつ持ち運びしやすいバーキンが生まれたのです。
バーキンのサイズ
日本人女性に人気のバーキンのサイズは、主にバーキン25とバーキン30です。特にバーキン30は「日本人のためにあるバッグ」といわれるほど、世界で見ると小柄な日本人女性にぴったりのサイズとなっています。しかし、海外で人気なのはバーキン35とバーキン40で、日本と海外では人気のサイズがまったく異なるのです。
実際に、海外のセレブ女性が持っているバーキンはバーキン35とバーキン40ばかりで、海外のエルメスの店頭でも、バーキン25とバーキン30はレアな商品となっています。
日本においても、ビックサイズといわれるバーキン45以降は日本ではほとんど見かけることがありません。
バーキンとケリーの違い
エルメスの2大巨頭であるバーキンとケリーですが、何が異なるのかご存じでしょうか。
1つ目は、ハンドルの本数です。ケリーが1本のところを、バーキンは2本であり、安定性に優れています。
2つ目は、ハンドルの取り付け位置。バーキンではハンドルがバッグ本体に取り付けられていますが、ケリーではフラップの上部に取り付けられています。そのため、バーキンは開けっ放しでも持ち運びできますが、ケリーはフラップを閉じなければ持ち運べません。
最後の3つ目は、ショルダーストラップの有無です。ケリーはショルダーストラップを付けての持ち運びができますが、バーキンはショルダーストラップを取り付ける箇所がないため、手で持つか手首に通して持ち運ぶかになります。